会長挨拶

日本写真測量学会のホームページにようこそ!

 日本写真測量学会は1962年、写真測量の重要性と発展可能性に注目した産官学の有志により設立されました。空中写真測量に代表される写真測量は当時、測量学の最先端の研究テーマでした。地形図の作成や公共事業のための測量・調査等へ広く活用し、国土の保全や高度経済成長に貢献することが期待されていたのです。

 それから60年、測量学は電子情報・通信、宇宙・航空、各種センサ、画像処理、人工知能等の先端技術の驚異的な進展等を背景に画期的な発展を遂げました。具体的には、写真測量はデジタル写真測量に進化し、さらには衛星リモートセンシング、GPSに代表される衛星測位システム(GNSS)、レーザ測量、そして地理情報システム(GIS)等の最新技術が次から次に登場していきました。

 測量は必要に応じて高精度かつリアルタイムに行えるようになり、その対象も静止物から移動体へ、空間スケールも局地的規模から地球的規模へと広がっていきました。センサを搭載するプラットフォームも、航空機から人工衛星への革新に加え、自動車や船舶、無人航空機(UAV)などへ多様化しました。もちろん、地図は2次元、3次元のデジタル地図へ進化し、それらをインターネットにより提供することが可能になりました。現在では、実空間の世界を一定の精度でサイバー空間上に表現し、それを多くの人々が共有することが可能になっています。こうして測量やその成果の利活用分野は大きく拡大しました。

 測量学のこのような飛躍的発展は、測量という言葉が持つ伝統的なイメージを遥かに超えるものであり、いつしか、空間情報の整備と利活用を中核的に担う学術分野として、空間情報学(あるいは空間情報工学、地理空間情報学など)と称されることも多くなりました。

 日本写真測量学会はこの間、写真測量を中心としながら、徐々にその対象領域をリモートセンシングさらには空間情報学全般へと拡大してきました。当学会は現在、写真測量を主な研究対象とするわが国唯一の学会として、またリモートセンシング分野、さらには空間情報学分野の代表的な学会の一つとして確固たる地位を築いています。

 会員の皆様のチームワークにより、学会の活動は大変活発です。例えば、学会誌を隔月に年6回発行し、学術講演会を春と秋、年に2回開催しています。また、国際写真測量・リモートセンシング学会(ISPRS)やアジアリモートセンシング協会(AARS)の日本代表組織として、国際的な活動も積極的に行っています。昨今のコロナ禍にあっても、学術講演会をオンライン方式で開催するなど、比較的安定的に活動を継続できています。

 これからも日本写真測量学会は、写真測量とリモートセンシング、空間情報学の発展のため、意義ある活動を精力的に進め、会員の皆様のご期待に応えていきたいと思います。引き続き、皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。また、新しい仲間が増えていくことも期待しています。ご関心のある方々の入会を心からお待ちしております。よろしくお願いいたします。


日本写真測量学会 会長
清水英範